ゲーム紹介『コンクルージョン』
【Megalomaniac Game】は2022年9月3日・4日に開催される「ボードゲーム大祭2022」にて新作トリックテイキングゲーム、『コンクルージョン』を頒布します。
今回の記事ではこの謎に包まれたゲームについて
・いったいどんなゲームなのか?
・どんな人にオススメなのか?
を紹介する予定です。是非ご購入の参考にしていただけますと幸いです。
1.概要
『コンクルージョン』
プレイ人数 3人専用
プレイ時間 45分
対象年齢 10歳以上
『コンクルージョン』はトリックテイキングと呼ばれるタイプのゲームです。
ゲームで使用されるカードは3色、各1~16まで存在する「数字カード」と1枚だけある「秘密兵器カード」という特殊札を加えた全49枚を用います。
基本的なルールはマストフォローあり、切り札無しのシンプルなトリックテイキング。
しいて特徴を挙げるなら、トランプで遊ばれるようなトリックテイキングと比べて1スートが長いのと、切り札無しという性質から、期せずして勝つ、負けるというのは起こりにくい印象です。
強いカードはきちんと勝つ(勝ってしまう)し、弱いカードで勝つのは困難です。
2.ラウンドの進行
ゲームはラウンドという単位で進行します。
ラウンド終了時に誰かが定められた点数を取っていればそこでゲーム終了、そうでなければラウンドを繰り返す……と、これもまたオーソドックスな流れ。
ラウンドは次の5つのフェイズで構成されています。
①準備フェイズ
②貿易フェイズ
③公約フェイズ
④会議フェイズ
⑤決算フェイズ
なんだか難しそうですが、実際のルールはシンプルなので安心してください。
では実際にラウンドがどのように進行していくのかを簡単に見ていきましょう。
①準備フェイズ
このフェイズで行うのは「カードの分配」です。
数字カード48枚をよく混ぜ、全てのプレイヤーに13枚ずつ配ります。
余った9枚のカードは全て見えるよう表向きにしてテーブルの上に並べます。
このテーブルの上に表向きに置かれたカードは『場札』と呼ばれ、後のゲームにおいても非常に重要なものになってきます。
②貿易フェイズ
このフェイズで行うのは「カードの交換」です。
マリガンや引き直しといったものを想像して貰った方が分かりやすいかもしれません。
スタートプレイヤーから順に、望むなら「カードの交換」を1回だけ行います。
「カードの交換」を行うなら、自分の手札から1枚選び、場札に加え……
その後、場札から1枚選び、自分の手札に加えます。
これを1手番ずつ行ったなら、脇に避けておいた「秘密兵器カード」を場札に加え……
貿易フェイズは終了になります。
③公約フェイズ
このフェイズでは「このラウンドでいくつトリックを取るかの予想」を行います。
宣言した数字と実際の勝利数を一致させることで点数が貰える、いわゆる「ビッド」と呼ばれるシステムですね。
公約フェイズではスタートプレイヤーから順に数字を宣言し、その数字を忘れないようにメモをしておきます。これで公約フェイズは終了になります。
④会議フェイズ
さあ次に行う会議フェイズでは実際に「トリックテイキング」を行います。
さっきも述べた通り、マストフォロー・切り札無しのルールで進行し、全員の手札が無くなるまで、つまり必ず13回トリックを行います。
それが終了した時点で、次の決算フェイズに入ります。
⑤決算フェイズ
決算フェイズで行うのは「得点の計算」です。
今回トリックに何勝したのかに応じて、得点を得られます。
先ほども述べた通り、この時に誰か一人でも累計得点が30点を超えていればゲームは終了し、得点の一番高い人が勝利。そうでなければラウンドを繰り返すという流れ。
3.ゲームの特徴
と、ここまでだと「カードの交換」などの要素はありながらも、ビッドを取り入れたよくあるトリテのように見えます。
では次にこのゲームの特徴、いわゆるセールスポイントを
①得点計算 ②交渉 ③NPC
の3要素に絞って解説していこうと思います。
①得点計算
トリテにおいてどのように点数を得るのか、というのはそれだけでどんなゲームか説明してしまえるほど非常に重要な要素と言えるでしょう。
『コンクルージョン』ではビッドの要素があり、実際にそれを的中させることで点数を得ることが出来ますが、実はそこで得られる点数は微々たるものです。
それどころか、ぴったり一致させなくても、宣言した数の+-1でも点数が入るとため、『コンクルージョン』におけるビッドは非常に緩く、重要度は低めです。
ではどのように点数を得るのか。
『コンクルージョン』にて最も効率よく点数を得る方法は「他のプレイヤー1人と勝利したトリック数を揃えること」です。
これを達成することで大きくボーナス点を得ることが出来るため、基本的にプレイヤーはこれを目指していくことになります。
「他人と勝利数を揃える」、これはシンプルながらジレンマを生みます。
自分だけがトリックを勝ちすぎてもいけない。
反対に自分だけがトリックに負けすぎても駄目。
状況に合わせた立ち回りが求められます。
ですがこれは手札の強弱がどうであれ、立ち回り次第で点数を取ることが出来る事を示しています。あなたがどんな手札でも抗うチャンスは残っているのです。
②交渉
点数獲得の為に活用すべきが2つ目の「交渉」という要素です。
実はこのゲーム、いつでもプレイヤー同士で「交渉」を行ってもよい、というルールがあります。交渉と言っても手札の交換や公開、点数のやり取りといったことは出来ませんが、話す内容についての縛りは特にありません。
「自分の手札が強い・弱い」「一緒に〇〇点取る事を目指そう」「〇色のカードでリードして欲しい」など自由に交渉によって話し合うことが出来ます。
上記のボーナス点は自分一人だけでは得ることが出来ません。
交渉によってプレイヤー同士の足並みを揃えることは必要不可欠です。
ただし交渉での約束に拘束力は無く、嘘を吐くことも可能なため、相手の事を信じすぎてしまうのも危険かもしれません……
③NPC
そして3つ目の重要な要素が「小国連合」と呼ばれるNPCの存在です。
ラウンド開始時点ではプレイヤー3人だけでトリックテイキングを行います。
しかし誰かが最初にトリックに3回勝利すると、そこから先のトリックに「小国連合」という第4陣営が参加してきます。
「小国連合」はいわゆるNPCであり、4人目のプレイヤーのような存在です。
「小国連合」は自分の手番になると、プレイヤーと同じようにカードをプレイします。しかし「小国連合」には手札が存在せず、場札からプレイするカードを選びます。
この時、ポイントになのが「小国連合」がプレイするカードを選ぶのは、このラウンドで一番最初にトリックを3回勝利したプレイヤーだという点です。
つまりラウンドの序盤に3回勝利すれば、NPCのコントロールを得ることが出来るため、そのラウンドの展開をある程度操る事が出来るでしょう。
しかし「他人と勝利数を揃える」ことを狙う上で序盤に勝ちすぎてしまうのは、あまり良い選択ではありません。というのも勝てば勝つほど他人と勝利数を揃えるのは困難になるからです。
プレイヤーは勝利数を抑えて様子を見るか、トリックに勝利して「小国連合」を味方につけるか、この序盤の選択は非常に悩ましいものになるでしょう。
他にもこのNPCの存在は、NPCと勝利数を揃えて自分だけボーナス点を得る、カード交換がマリガンだけでなくNPCが出せるカードを操作するために行う、など様々な戦略を生み出してくれます。
4.どんな人にオススメか?
『コンクルージョン』には特殊札がほとんど存在せず、切り札が無いことから予想外のことが起こりにくく、トリックに勝つか負けるかの予想は比較的容易です。
逆に特殊札や切り札で誤魔化しが効かないため、自分がどうやって得点を得るのかをしっかりと考えなければ勝利するのは難しいでしょう。
また自分のミスが相手の点数を大きく伸ばしてしまう可能性もあります。
これらの面から総合して『コンクルージョン』はシビアなゲームです。
そういったじっくりと考えるようなトリックテイキングが好みの方にはオススメです。
逆にゲーム展開に派手さは無く、かなり地味なゲームだとも言えます。
また革新的なアイデアを中心に据えたゲームでもないため、同人ゲームに斬新さや新鮮さを求めるような人にとっては物足りないかもしれません。
加えてトリックテイキングをほとんどやったことない方には少し難しく感じるかもしれません。
5.まとめ
以上で『コンクルージョン』の紹介を終わります。
この記事で少しでも興味を持ってくれた方は、是非とも「ボードゲーム大祭」にて買ってみてください。値段もかなりお求めやすいものになっています。
『コンクルージョン』は9月3・4日の「ボードゲーム大祭」の【さくらの間-40『輪骨舎』】ブースにて発売予定です。価格は1000円です。
6.おまけ:『コルージョン』と『コンクルージョン』
『コンクルージョン』はトランプで遊べる『コルージョン』というトリックテイキングをベースに作られています。(タイトルもそれを意識したものになっています)
『コルージョン』は古いゲームでありながらも大変面白く、『コンクルージョン』の交渉や得点要素はほとんどそれと同じものになっています。
僕はこの『コルージョン』というトリテが好きなのですが、4人専用という部分がネックであまり遊ぶ機会が多くはありませんでした。今回『コンクルージョン』というゲームを作ろうと思ったのも3人で『コルージョン』の面白さを味わえるゲームが欲しいと思ったからです。
そして3人で遊べるようにルールを考えていく中で、元のゲームで自分が気になっていた「序盤で勝利することの価値の低さ」や「序盤何を目安にプレイすればいいか分かりにくい」といった部分を、NPCやビッドという要素を取り入れることで改善しようとしています。
そのせいで元々のシンプルさが薄れてしまった部分はあるのですが、これはこれで違った面白さが味わえるゲームになっていると思います。『コルージョン』をプレイ済みの方はプレイ感の違いを比べてみるのも面白いでしょう。
そして『コルージョン』をプレイしたことない方は、一度そちらの方を遊んでみて購入するかどうか決めてもいいと思います。また『コンクルージョン』が面白かったなら、是非とも『コルージョン』もプレイしてみてください。とても良いゲームです。